先週金曜日より、ハイブリッドインターナショナルコースの新宿授業が再開しています。多様化が先進的に進んでいる地新宿に生徒たちは集います。ハード面では2020年に向けスマートシティ化が一層進む街で、哲学的思考を今日も鍛えています。ICT、IoT、AI、シンギュラリティ…、スピーディーに技術が進展していく中、考えなくても人は生きて行ける時代に向かっています。その様な時代にあって、哲学的思考を深める意義は今後一層高まっていくと考えています。考える人と考えない人、考えられる人と考えられない人とに今後一層格差が生まれるのではないでしょうか。そんな未来を見据えて工学院は深く物事を考えられる人を養成しています。そのコアになるのが本コースでは「哲学」になります。本日は哲学の授業を中心に報告させていただきます。
本日の1枚は哲学の授業に参加したオーストラリア、グリーソンカレッジのKaylaさんと哲学の先生ジェームズ先生、そして、1年8組ホストバディのウララさんとのワンショットから。「グローバル教育3.0」です!
3学年の哲学授業…世に出回るカルト、霊能、偽薬、ホメオパシー(医学用語現在はこの医療は否定されています)に対して語るTED talk を視聴し、見解のポイントに対して生徒たちが指摘し合いながら、本質的な問いを見出していく授業が展開していました。私たちはなぜ不確実なものを信じてしまうのだろうか?
2年生の哲学授業…職業病に関する記事を題材に、職業に従事することで生じる感覚や認識について、生徒たちは見解を提出し合います。その後、「これは何?」と普段目にするもののフォーカスを変えた画像をクイズの様に当て合います。そして、「人の認識に占める知覚と解釈の割合はどうなっているのだろうか」という問いに発展していきます。「見える」「わかる」とはどういうことなのだろうか?「世界は存在しない」ドイツ哲学者マルクス・ガブリエル氏の見解を彷彿とさせます。
1年生の哲学…「いかなる犠牲を払っても唯一の戦争におけるルールは勝つこと、あなたはこのルールに同意するか?」が出発点。トロイ戦争を教材に戦争における誘拐や殺戮は誰が悪いのか?という直接的問いから発展しながら、人はなぜ洗脳されるのかという形で議論は展開していきました。人が信じる空想上のルールは普遍的でありえるのだろうかという問いが背景に流れていると思われます。グリーソンカレッジのKaylaさんにインタビューしたところ、グリーソンでは哲学の授業はないこと、深く物事を考えるこの授業が楽しいということを教えてくれました。「グローバル教育3.0」の授業が展開しているということになります。
哲学の授業を取材して気づくことは、日常の中に知的作業につながる題材が存在しているということです。「新しい知識を得てひけらかすのは幼稚な態度だ。むしろ新しい目で日常の中に発見を見出すことが大人の知的な活動なのだ」という『思考の整理学』で有名な著者、外山滋比古氏の言葉の含味を理解します。どこまでも深く生徒たちの思考の世界を深めていく哲学の授業が今日も新宿では展開していました。