平成最後の土曜日、4月27日に、高校1年生サイエンスコースの生徒を対象とした、成蹊大学の先生方による出張講義が行われました。
今回の講義では「1+1=2になる」「水と油は混ざらない」という、一見当たり前とも思えることが、実は覆されるんだよという体験をしました。また「日常生活の中では常識と思えることも、化学の世界では疑ってみることで新しい発見につながるということ」も教えていただきました。サイエンスコースの生徒たちには、科学の不思議に、さらに興味・関心を持ち探究学習を続けて欲しいと思います。以下が本日行われた実験の様子です。
「水とエタノールを混ぜると体積は?~分子で考える1+1~」
・・・理工学部教授 戸谷 希一郎先生
まず戸谷先生から質問が投げかけられ、それについて班ごとに答えを出しながら講義が進められました。
(問)「水とエタノールを混ぜと重さと体積はどうなるか?」
始めに、水とエタノールの分子模型を作り、水とエタノールの沸点、融点、密度、粒子数、分子量の違いから答えを予測しました。
実際に、混ぜてみると、水+エタノールの体積が小さくなりました。
このことは、これから1年生の「化学基礎」で勉強する「水分子の水素結合」が関係していることがわかりました。ここからさらに「水素結合と水のクラスター構造」についての説明がありました。
大学2年の「生物有機化学」の講義で学ぶ「DNAの二重らせん構造」や「たんぱく質の構造」「インフルエンザの感染」にも水素結合が関係していると話されました。
「水+エタノール」の体積が小さくなる理由は、水分子の水素結合ネットワークの間にエタノールが潜り込むためです。実際には両者は混在しているので、化学の世界では、「1+1は2にならない」という理論が成り立つわけです。大変勉強になりました。
さて、別の実験室では・・・・?
「水と油はなぜ混ざる?」
・・・理工学部教授 里川 重夫先生
1組号令係の生徒の声により、いつもの授業と同じように元気に挨拶をして講義がはじまりました。こちらは希望者が多かったため、生徒たちは10班に分かれて講義が進められました。
(問)「水と油は混ざる、混ざらないか」・・・混ざる2班✕、混ざらない7班○
(問)「水と油の重さ(比重)は同じか」・・・同じ0班✕、違う10班○
<水の方が軽い3班、重い7班○> という答えが圧倒的でしたね。
ここから、実験・観察をして「水と油の違い」と「界面活性剤のはたらき」について学んでいきます。
洗濯するときに「洗剤を決められている量より多く入れたら、もっときれいになる」というのは正しくないことや「酢(水)と油の混合物であるドレッシングは混ぜるために振るけれど、同じ酢(水)と油の混合物であるマヨネーズは振らなくていい」という事実とその理由がわかりました。
水と油が界面活性剤を介して結合する乳化作用は、化粧品、洗浄剤、医薬品にも使われており「化学を学び応用することは、私たちの暮らしを豊かにするために欠かせないものだ」ということが実感できた授業でした。
本日の体験は、これからの「化学」の授業にきっと良い効果となって表れるでしょう。講座を担当して下さったお二人の先生方、ありがとうございました。