5月31日(日)11時より、プログラミング講座メンバー主催の、第2回モデリングバトルを開催しました。
まずは、主催者より普段の活動案内と、今大会の趣旨説明を行いました。
大会開催の趣旨でもある、「社会課題の解決」が、たとえば今回のようなお題、「ソーシャル・ディスタンス」の実現に役立つもの、といってようなテーマへと反映されています。
新入生がたくさん参加してくれたこともあり、活動内容や、活動拠点である学校図書館の説明も行いました。(早くみんなで集まって、活動したいですね!)
活動拠点の図書館はこんな場所。
最後は審査方法を説明して、いよいよそれぞれの発表開始です!
今回のバトラーは9名です。
以下は、今回のエントリー作品の紹介です。
① マスクリップ
クリップ型のプロダクトで、片方は服などに引っ掛けることのできるフックがついています。マスクを一時的に外す必要のある場面で、マスクをクリップに挟んで使用します。食事時など、外したマスクを机に置いたりすることがあります。
机に置いたマスクを再びつけるのは衛生的にも気持ち的にも抵抗がありますが、そんな時に思いついたプロダクトとのことで、バネなどを組み込んで実際に動く様子をプレゼンしてくれました。
② SD(Social Distance)flower & airplane
こちらの作品はなんと小学3年生の作品です。先輩たちに混ざってひとりで堂々とプレゼンをしてくれました。大きなプロダクトで、中央にあいた穴に人が入って使います。
遊び心のある飛行機型と花形のデザインで、設置された輪っかに手や紐をひっかけて支える仕組みです。手が塞がることで、無意識のハグや握手を防ぐことも期待され、楽しみながら接触を減らすことのできる素敵なアイデアでした。
③ リング
こちらはオンオフを切り替えることのできる電磁石を仕込んだ指輪型のウェアラブルデバイスで、磁力の力をつかってソーシャルディスタンスを意識させようというプロダクトです。フラフープなど、目に見えるものを使って距離を保つ試みは世界的に行われていますが、電車の中ではどうするのか、お店に入る時はどうするのかという、触れられるものであるという物質的な制約に直面します。
このプロダクトではそんな空間的な問題を、磁力を使って解決できないかと挑戦したアイデア勝負な作品でした。
④ ディスタンスバックル
こちらの作品は赤外線測距センサとスピーカーを使って、レーダーのように常に人との距離を測定できるデバイスです。服の前面に引っ掛けるのことができるようにパッケージングされ、例えばお店の人が2m間隔でお客さんに列を作ってもらう際などに効果的です。使用するパーツや材料は合計1000円以内で購入でき、3Dプリンタさえあれば誰でも自宅で再現することができるよう考えられています。
マスク不足の際は家で作れる自作マスクの作り方が広く共有されましたが、今やこういったデジタルデバイスも自分たちで作れる時代なのだなと実感させられる、素晴らしいプレゼンでした。
⑤ オニギレン
見事グランプリに輝いたのがこちらの「オニギレン」です。おにぎりのような外見のプロダクトで、電車のつり革に被せてつかいます。いくつかのつり革を覆うことは車内での密集を防げる一方、乗客が使えるつり革を減らすことでもあります。これは感染防止のために必要なことですが、一方で利便性を奪うことでもあります。
そこでおにぎりのような可愛らしい外見と、「握ってあるのに握れない…」というコミカルなキャッチフレーズを添えることで、車内の雰囲気を明るくする工夫が凝らされています。お米や海苔の質感も素晴らしく、機能だけでなく見た目もハイクォリティな作品でした。
⑥ 嫌われ者BOX
こちらの箱型のプロダクトは、中に香水など香りのする液体を染み込ませた布をいれて使う、キーホルダーサイズのプロダクトです。相手の「嫌われ者BOX」の香りが自分の「嫌われ者BOX」の香りと混ざると、嫌な匂いになります。つまり、相手の匂いがわかる距離だと、近づきすぎていると判断することができます。
香り、つまり嗅覚という要素に注目することでソーシャルディスタンスを保てないかという、斬新な発想に驚かされた作品です。
⑦ ソーシャルディスタンス日傘
こちらのプロダクトは日本の伝統的な笠の形をしたプロダクトです。見た目の通り、頭にかぶることでソーシャルディスタンスを保ちます。3Dプリンタは積層して形を作るという造形方法の性質上、コップなど密な構造を必要とするプロダクトでは実用において不利です。しかしこの笠のようなプロダクトでは積層の隙間が通気性を生み、逆に有利になります。
そんな3Dプリンタの性質にも注目した、印刷用にぴったりな組み合わせのプロダクトでした。
⑧ ソーシャルディスタンスハット
こちらの作品はリアルな象の形を模した帽子のプロダクトです。図書館としては象の帽子というと『星の王子さま』を思い出します。象のモデリングはスカルプトモデリングという手法が使われており、滑らかで美しいモデルに仕上がっています。
ソーシャルディスタンスと言いつつも、ついつい近くでみてみたくなってしまうハイクオリティな作品は、なんと中学1年生が挑戦してくれた作品でした。
⑨ 距離測定器
こちらのクリップ型のプロダクトは、測距センサとブザーを内包しており、人と近付きすぎると音を鳴らして知らせてくれます。また、音で知らせるとともにスマートフォンに通知を送り、記録としても残しておくことができます。たとえば、1日の終わりに通知回数を確認することで「今日は何時ごろに通知が多かった」など、密であったシチュエーションを振り返ることができるように考えられています。
大きさも無理なくポケットに取り付けることのできるデザインで、パッケージもよく考えられた作品でした。
どのバトラーも堂々たるプレゼンで、それぞれの特徴をよく表現していました。
それぞれのプレゼンごとに質問タイムを作ったのですが、たくさんの質問があり、とても活発な時間となり、多くの観覧者の方に大いに盛り上げてもらった第2回モデリングバトルでもありました。
全員のプレゼン終了後は、いよいよ投票です。投票は一人3票で、zoomの投票機能を使って行われました。
投票集計中に、ファブラボ鎌倉研究員で、本校のプログラミング講座の講師から、それぞれの作品の工夫したところやポイントなど講評してもらいました。
ファブラボ鎌倉では、慶應大学SFC主催のFab3Dコンテストにも協力しています。本校生徒も複数入賞しています。ぜひ後に続いてほしいと考えています。
いよいよ投票結果の発表です。
投票の結果、1位は「オニギレン」、2位は「ソーシャルディスタンスバックル」、3位は「マスクリップ」となりました。
残念ながら入賞を逃した作品も、どれも素晴らしいアイデアが光る力作揃いで、みんなの進歩の様子がわかりました。
今後も様々なアイデアを、形にしていって欲しいと思います。
バトラーの皆さん、参観してくださった皆さん、ありがとうございました。
次回第3回も、ぜひ開催したいと思います!