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工学院大学附属中学校・高等学校<公式ブログ>

【デジタルクリエイター育成部】チームジンベエ代表4名にインタビュー!

デジタルクリエイター育成部マインクラフト班「チームジンベエ」が、今年度のMinecraftカップ「まちづくり部門」の予選を突破、東京ブロック地区大会へ進出!と伺って早速、代表の4名にお話しを伺ってきました!

チームは中学生を含む19名の大所帯。その中から、東京ブロック地区大会でプレゼンテーションを担当するのは、高校2年の大河原琉翔さん・川村翔さん・橋本遥生さん(いずれもスーパーサイエンスクラス)、そして高校1年の井上大地さんの4名です(写真左は顧問佐々木先生)
彼らが手がけたのは、科学と創造性を融合させた都市『Anaselas City』。
一つの街を通して「人が再び光を取り戻す」というメッセージを描いています。


19名で挑む都市づくり
チームジンベエの活動は、文化祭や学校説明会で使うマイクラワールドの制作から始まりました。メンバーはそれぞれ得意分野を生かし、建築やデザインを分担しています。
メンバーの大河原さんは「全体のサイズや建物の割り振りを行い、各自に制作をお願いしています」と話します。各メンバーが自分の領域を担当しながらも、最終的には一つの街としてまとまるよう、完成形を共有しながら進めていきました。
代々、メンバーを替えながら「チームジンベエ」として新たな作品でエントリーを続け、過去の挑戦で得た反省や改善点が、今年の作品へと確実に生かされています。

「チームは中学生も含めた19名。上級生が下級生をサポートしながら作業を進めるのがこの部の特徴です」と橋本さん。異なる学年が関わるからこそ、多様なアイデアが生まれ、全体の完成度を高めています。


『Anaselas City アナセラスシティ』――ギリシア語から生まれた希望の街

今年の作品タイトル『Anaselas City』は、ギリシア語の「ana-(ἀνά)(再び・上へ)」、「光」「輝き」と「selas(σέλας)(光・輝き)」 を組み合わせた造語。「再び輝く」「さらに光を取り戻す」という意味を込めた、チームの象徴的な言葉です。
大会テーマは「レジリエンス(回復力)」。災害から立ち直る力をテーマに、街がどのように再生していくかを表現しています。

橋本さんは「防災を重視しつつ、暗いだけの街にはしたくなかった。光をテーマに、人が戻ってきたくなるような都市を目指しました」と語ります。チーム全体が共有したのは“強さと優しさが共存する街”。近未来の世界を舞台に、希望を感じる色使いと構造を意識してデザインしました。
メンバーで決めた「Anaselas City」のビジュアル的な設計コンセプトは「サイバーパンク」。
「近未来の雰囲気を出したかった。ネオンで街が輝いて見えるのは、ただ明るいだけでなく、そこに“再生”の意味が込められています」と説明します。作品には、人の暮らしを支えるテクノロジーと、人の温かさを大切にする想いが息づいています。


海上都市の誕生

制作は“海の上”から始まりました。「海の上に丸い島を一から生成し、その上に街をつくりました。土台となる区画整備にいちばん時間がかかりました」と大河原さん。海に浮かぶ島には大きな山を配し、地形の高さや傾斜を細かく調整しながら島の形を整え、区画整備に建物より、まずは道路を設計造作。
作業ではコマンド操作や自作スクリプトを駆使し、完成済みのツールに頼らず、ゼロから構築しています。「みんなコマンドを使って効率化しながらも、最終的には手作業で整える工程が必要なんです」と川村さん。
建築デザインを考える際には、AIが生成した建物イメージを参考にしたり、試行錯誤を重ねました。デジタル技術を“創造のきっかけ”として活用し、最後は人の感性でまとめあげる。そのプロセスこそが、チームジンベエの真骨頂です。


災害への備えをデザインする

『Anaselas City』の根幹にあるのは、「災害に強く、人が安心して暮らせる街」という発想です。
二重の防波堤を設け、過去の津波データをもとに必要な高さを計算。和歌山県の“浮上式防波堤”を参考に、必要な場所に非常時にせり上がる構造を導入しました。
首都圏外郭放水路のような地下施設も入れています。島全体を山なりにして浸水を防ぎました」と橋本さん。
外見の美しさに加え、科学的な根拠とリアリティを備えた設計。光や水の表現はもちろん、地形や高低差に至るまで、防災の思想が細部に宿っています。


東京ブロック大会へ向けて

「街の雰囲気や造形のスケール感を見てほしい」とメンバーたちは語ります。
審査は都市の完成度を審査員が評価する形式で、「まちづくり部門」には14ブロック836作品のエントリーがありました(大会公式Webサイトより)
「完成度は90%くらい。理想を言えばきりがなくて。時間があればもっと密度や細部を詰めたい」と大河原さんは冷静に分析します。それでもメンバー全員が胸を張るのは、作品が伝えるテーマの一貫性。防災、回復、そして希望という軸をぶらさずに19名が一丸になって作り上げた自信です。


未来へつながる探究心

メンバーの多くは理系志望で、マインクラフトを通して得た論理的思考と創造力を、進路や研究にもつなげています。
「今はゲームよりWeb開発やプログラミングに興味がある」「マイクラの操作状態を読み取る外部アプリを開発中で、いずれ公開したい」など、それぞれが次の挑戦を見据えています。一方で、高校1年生の井上さんは「後輩たちがさらに自由に発想できる環境をつくりたい」と話し、次世代のチームジンベエを率いる力強さがにじみ出ています。

『Anaselas City』という名が示すように、「再び輝く」という言葉は彼ら自身の姿にも重なります。試行錯誤を恐れず、困難を乗り越え、チームで一つの世界を築き上げる。その姿は、まさにレジリエンスの体現です。
キューブの世界に込められた彼らの想いが、東京ブロック大会のステージでどのように輝くのか。
彼らの活動拠点、Maker∞mから生まれた創造の光がまたひとつ未来を照らそうとしています。(広報室)

◆地区大会(東京ブロック)詳細

  • 日時:11月30日(日)14:00~16:00頃(予定)
  • 場所DNPプラザ(東京都新宿区市谷田町1丁目14-1)
  • 審査内容:1分間の動画+2分間のスピーチ+審査員による質疑応答
  • 配信:会場の様子は大会公式YouTubeにて後日配信予定
  • 結果発表:12月中旬を予定

◆第7回Minecraftカップ 大会公式(作品紹介ページ)はこちら

minecraftcup.com