“クイズ王”という言葉が似合うかもしれない。
けれど、勝者の高校2年生は競技者というよりも、
静かに世界を見つめる探究者でした。
全国の高校生が科学クイズで競い合うオンラインイベント「科学ってカッコいい!Science Heroes」(主催:QuizKnock × Yakult)で、サイエンス部 化学班長、須田惟新さん(高校2年)が優勝しました。イベントは2025年10月、メタバース空間「めちゃバース」で行われ、優勝した須田さんにトロフィーと副賞に図書カードNEXTが贈られました。トロフィーには須田さんの参加ネーム"たぴおかぱん"が誇らしく刻まれています。
”見える”ように考える
大会では、物理・化学・生物・地学・天文学と、幅広い分野から出題されました。
須田さんは「教科書を思い出すより、“こうなるはずだ”と考える回路も頭のどこかにあった」と振り返ります。
一瞬で思考を巡らせる——印象に残っているのは、例えばドップラー効果を利用した技術を選択する問題。「ドップラー効果と聞いて波動が起こるような現象といえば…動くものでないと起きない。だから“動く”といえば速度かな?と。周期が変わることを利用した速度を計測する技術だろうと考えました。ドップラー効果そのものに関する知識はあまりなかったんですが正解しました。」



一方で、「水に浮く惑星を選択」する問題では、ある記憶の中の一頁が記憶から浮かんだといいます。
「小学生のころ、図鑑の隅のコラムで“土星は他の惑星に比べて密度が低い”という記述があって、それが印象に残っていたんです。幼いころ眺めたそのページが一瞬で蘇りました。」
須田さんにとって知識とは、記憶を積み上げたままのものではなく、考えるための素材であり、骨太なインスピレーションの礎ともなっていました。クイズというエンターテインメントなタイムを競う場は、驚くほど広い世界を観察しながら考える場だったのです。
サイエンス部 化学班長の見る世界
サイエンス部の化学班長である須田さん。会場であるオンライン上の「めちゃバース」には部員もアバター姿で応援に来てくれていました。
中学生も在籍する化学班は、個人的な活動も行うけれども、それぞれが自分の興味をもとに協働して実験や研究を進める場でもある、と言います。「みんなが自分の興味を探せるように、と思いながら活動しています」と須田さん。実験は思いどおりにいかないことのほうが多い。それでも、結果が出た瞬間の高揚感は何度味わっても新鮮だといいます。
「化学は危ないものだと思われがちですが、正しく扱えば人を助ける力になるんです」
塩酸に重曹を混ぜて中和させる実験を例に、「危険を安全に変えるのも科学の力です」と語る彼のまなざしには、誠実さとやさしさがありました。



思考に火がついた瞬間
物理分野の興味のきっかけは?と尋ねると、須田さんが物理が面白いと感じ始めたのは、本校(高校)に入学した後だと言います。
高1の物理の授業で「山下先生の授業がすごく面白くて、そこから好きになりました」
「中学と違って、高校の物理は文字がたくさん出てくるんです。力ならF、速度ならv、エネルギーならE、と現象ごとに記号が与えられていて、それを並べて公式ができあがっていくのが面白くて。中学とはまったく違う感覚に気づきました」
山下先生の朴訥としたトーンの授業の最中、彼の頭の中では静かに公式と現象がつながっていきました。「山下先生と感覚が合うのかもしれない」と笑う須田さんの言葉の通り、そこに更なる科学の世界を広げる出会いがありました。


興味の中心は「エネルギー」
現在、須田さんがもっとも関心を持っているのは「エネルギー」です。化学反応や物理現象を通して、エネルギーがどのように生まれ、伝わり、形を変えていくのか。
「エネルギーはなくならず、姿を変えて存在し続ける。それが面白い」と語ります。
化学班での活動を通して、科学を“社会の中でどう生かすか”という視点も育ってきたようです。一方で、天文物理への関心は幼いころから変わっていないと言います。
「小学生のときに惑星や時空のことを扱った本を読んでから、今もずっと好きです」

「わからない」から始まる
大会後、須田さんは、QuizKnockの須貝駿貴さんから「知らないことを知らないと言えるのは、すごいことです」とコメントを頂いています。
須貝さんは知る人ぞ知る、科学分野のクイズ王。決勝の出題は須貝さんの作です。
その言葉に須田さんは「それがいちばん大事だと思います」と静かにうなずきました。
人は「わからない」からこそ考える。
須田さんの語る科学も、その延長線上にあります。
知っていることより、考えること。考えることは、みえること。
見上げる惑星も、目の前のビーカーの液体も——目の前の世界のすべてが、彼にとって“考えるきっかけ”になっている、その世界観を共有させていただいた貴重なインタビュータイムとなりました。
さて。
ここで須田さんが制作した化学の動画を紹介しましょう。
「高1の学習範囲です。見ているうちに理解できますよ!須田さんはあっという間にこの動画を仕上げていてその集中力に驚きました」という、サイエンス部顧問の井上アン先生もイチオシのムービーです。
「【化学班作】原子や分子の個数を数えてみる」
最後になりましたが、須田さん、科学クイズの優勝、おめでとうございます。
須田さんの見つめる世界がより多くの人に響き、ともに未来を創る力として広がっていくことを願っています。(広報室)
※QuizKnock × Yakult主催「Science Heroes」
当日の模様はYouTubeにて後日公開される予定です(公開後にこちらに掲載します)
Science Heroes@メタバース 公式ウェブサイト