こんにちは、広報室です。
サイエンス部 天文班が宇宙の謎に挑む、新たな一歩を踏み出しました。
今回、サイエンス部天文班のプロジェクトメンバーは、工学院大学の宇宙物理を研究する紀 基樹 客員研究員(教育推進機構)に支援を受けながら、新たな天文学研究に取り組もうとしています。
中高大院連携の枠組みの中で、彼らはどのような発見をしていくのでしょうか。その第一歩となる活動をご紹介します。
紀先生とのブレインストーミング——研究の第一歩
3月17日、天文班の部員たちは工学院大学の紀先生を訪問し、第1回のブレインストーミングを実施しました。紀先生にはアドバイザーとして参加していただきます。
この議論では【観測から観望へ】をキーワードに、活動の方向性を決定。また、天文班の強みである「カメラや写真技術を活用した研究」と「定期的な観測を基にした分析研究」を組み合わせることを検討しました。さらに、自宅にある個人所有の天体望遠鏡や、学校の天文台に備えたリッチー・クレチアン式望遠鏡を活用するといった内容の研究テーマについても話し合いました。
今回、天文班のプロジェクトメンバーは、過去の卒業生が取り組み、天文ジュニア学会にてポスター発表した『木星とその衛星の観測からケプラーの第3法則を検証する』をきっかけに、 惑星観測を軸とした研究に挑戦しようとしています。過去の卒業生のテーマの惑星が「木星」であったことから、木星や同じく惑星の「火星」「土星」の観測を候補に挙げ、夏の間に観測方法を学び、冬の星座にある変光星に関するデータ収集を行うかどうかについても議論。3月中にさらに話し合い、先行研究を調査しながらテーマを決定する予定です。
宇宙物理研究の最前線と天文班の挑戦
紀先生は、2024年12月に工学院大学の公式ウェブサイトにて「M87のジェットから強力なガンマ線フレアを検出」した研究成果 を発信されています。(記事はこちら)これはM87の巨大ブラックホールが約10年ぶりの活動期を迎えたことを示し、超高エネルギー電磁放射の発生メカニズムの解明に向けた重要な手がかりとなる成果です。
今回のプロジェクトは、そうした宇宙物理学最前線の研究者の知見を直接取り入れながら進められる貴重な機会となるということになります。
つながる「宇宙好き」の絆
初回のブレインストーミングでは、紀先生と天文班の部員が「なぜ宇宙に興味を持ったのか」を語り合う場面がありました。
天文班の班長Fさん、班員Sさん、そして紀先生は 『「学研の図鑑」 を読んで宇宙に興味を持った』という共通点があり、話は大いに盛り上がりました。また、班員Aさんは プラネタリウム に魅了されたことが宇宙研究の入り口だったそうです。 紀先生と生徒を引き合わせたサイエンス部顧問の井上アン先生は、『世代が違っても、「宇宙が好き」という気持ちは共通するものがある』と実感させられる瞬間だったと言います。
未来へ向けて
このプロジェクトの目的は、単に天文観測を行うことではありません。学内での研究を深めながら、外部発信にも挑戦することを視野に入れています。
工学院大学の紀先生と連携しながら、学内に備える天文台の高精度なリッチー・クレチアン式望遠鏡を使って精密な観測を行い、理論と観測を組み合わせた本格的な天文学研究を進めていこうとしています。
どうぞ、これからの彼らの発見と展開にご注目ください!(広報室)