JUNIOR & SENIOR HIGH SCHOOL OF KOGAKUIN UNIVERSITY <OFFICIAL BLOG>

工学院大学附属中学校・高等学校<公式ブログ>

中1探究教室 後編

後編は「高尾山」「八王子城跡」「絹の道」チームの活動をご紹介します。

 

【 チーム2 高尾山 】

梅雨の潤いをたたえる森林を縫って、最大傾度日本一のケーブルが山頂めざし進みます。日本有数の動植物の生息地、高尾の自然が生徒たちの表情に輝きをもたらします。そして、歴史的にも守られてきた大自然が車窓から迫ってきました。

天然の要害として高尾山に人の手が入ることを禁じ庇護(保護)したのは、戦国時代この地を治めた北条氏照。さらに歴史をさかのぼれば、推古天皇の時代(飛鳥時代)に疫病治癒を祈願し霊山(真言密教修験道)として行基が高尾山に薬王院を開いたということです。薬王院の鳥居を一礼してくぐれば、霊山としての聖域になります。高尾山そのものが信仰の対象、霊域となるそうです。

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説明してくださったのは、大本山高尾山薬王院のご住職、また、八王子市青年会議所青年部の副会長を勤める飯沢秀一(法名:隆秀)さんです。飯沢さんは本校中高一貫の4期生にあたる先輩でもあります。ケーブルの到着駅、高尾山駅に法衣を纏って生徒たちに合流してくださいました。笑顔を絶やさず、よどみなく高尾の豊かな自然、そして、その歴史的背景を後輩たちに語る隆秀さんは、後輩たちに出会えたことが本当に嬉しいことと感じているように見えました。在学時深く関わった卒業生が、立派になって後輩に語る姿に教員としての喜びも感じました。

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お昼は、薬王院の施設を提供していただき、めいめいで食事をとりました。八王子の平野部では激しい雨が降ったと学校に戻り聞きましたが、雨の影響もなく、のびのびと生徒たちは過ごしていました。コロナ禍の中、境内の参詣者、登山者はまばらで、静かで落ち着いた空気が終始流れていました。

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昼食後、薬王院の本堂を見学させていただきました。

修験者の法衣に着替え、隆秀さんは再登場です。霊山の迫力満点!

強歩大会の引率で30年間、毎年1回は高尾山に引率で訪れましたが、薬王院の本堂を見学させていただくのも卒業生である隆秀さんが立派な法衣で堂々と後輩たちをリードしていく姿を見るのも初めて...生徒たちだけでなく、私にとっても特別な時間が流れました。

本堂は立派な法具で天蓋(仏の空間)、人蓋(俗世の仏の空間)に仏の世界観が表現されています。

 「(その法具は)いくらくらいするのですか?」(笑)

と生徒の正直な質問も飛び出しながら、丁寧に隆秀さんは質問にお答え下さいました。

最後に法螺貝を吹いて生徒たちの体験を印象深いものにしてくださいました。「仏教における様々な“音”」は、自己の仏心への「気づき」を意味するそうです。法螺貝の音は生徒の何に響いたのでしょうか。

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【 チーム3 八王子城跡 】

After a short bus ride through very narrow streets, the students arrived at the Hachioji Castle grounds. The date was June 23, the exact date that forces led by Maeda Toshiie and Uesugi Kagekatsu captured the castle from the forces of Hojo Ujiteru. Students met our tour guide and we headed into the information center. In the center students were treated with a 3-D map of the area and a short video showing the dramatic battle that happened at the castle during the Sengoku Period.  

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It was time to go outside. Luckily the rain had ceased so the students could stretch their legs for a short hike to the outer gate. Along the way we saw many visitors with professional cameras stacking out spots to take pictures of rare birds. Some whispered that the grounds were haunted so we should be wary of ghosts of fallen soldiers and their families.  

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Students crossed a magnificent bridge that had been recently erected and headed to a section of the original castle wall. Our guide explained how engineers in the past constructed such marvels. We then used the last of our energy to climb the stone steps up to a clearing that had originally held a big hall and artificial pond. We took our time to breathe in the fresh air and admire the nature of Hachioji. 

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Everyone returned to an open area near the information center for a quick picnic lunch outdoors. Some brave souls took another hike to the grave of Hojo Ujiteru and his vassals. They climbed a steep, seemingly never-ending staircase to see the solemn spot. The search for spirits may have ended in failure but the area itself was beautiful and worth the climb. After, we all boarded the bus back to Hachioji Station. Many students, satisfied from eating lunch and exerting energy with friends, slept peacefully. 

 

『はちはく』で八王子の概要を学んだ生徒たちは、短いバスの旅を経て八王子城跡へとたどり着きました。訪れた6月23日は、ちょうど八王子城合戦でこの城の城主である北条氏照が、豊臣秀吉の軍に加わった上杉景勝前田利家らに攻められ、陥落した日でした。ガイダンス施設では、施設の方の解説や立体地図、概要のまとめられたビデオなどで、その戦国時代の合戦の様子を知ることができました。

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施設内で八王子城の歴史について学んだ生徒たちは、いよいよ八王子城跡、御主殿跡へとお散歩です。湿度も気温も申し分ない日に、大人だと少し汗のかく程度のハイキングで八王子城跡をめぐりました。初めにジオラマで位置を確認し、涼しげな林を進んでいきます。

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立派な曳橋を渡り、最後の階段を上ると、いよいよ御主殿です。敵が侵入してきてもすぐに入れないよう、端からは一直線では御主殿跡に入れないような作りになっています。橋の上からのぞいても、その様子がよくわかります。

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橋を渡り、踊り場に出るとはっきりと他とは違う石が4つ、地面に見えます。これが、櫓門跡です。これらは、櫓門の礎石で、この上に門が建っていたことを想像して、ポーズをとる生徒まで現れました。

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あと一息!一段一段が重みのある石段を登ると御主殿です。きれいに並んだ石があるのが主殿、奥には舞台のように一段上がったところは会所の床が復元されています。生徒たちはなぜか、それぞれの部屋のエリアではなく、小鳥たちが止まり木にいるように部屋と部屋を区切る区画の立っています

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八王子城跡は、何か大きな建物や立派なお城が建っているわけではありませんが、子供たちひとりひとりが、聞いた解説をもとに昔の風景を想像できたと思います。中学一年生になり初めての課外活動、校内でのみ活動していた生徒たちが、教材やパソコンを離れて現地で活動できたのは、とてもいい機会になりました。この経験を通じて、八王子のことをもっと知り、今後のプロジェクトにつなげていってもらえればと思います。

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【 チーム4 絹の道 】

男子20名で10時45分にスクールバスに乗り、八王子駅を出発し、11時過ぎに『絹の道資料館』に到着。到着後、残念ながら、大雨でした・・・(どうやら、ここのグループだけ雨の影響を受けてしまったようです。雨男は誰でしょう??)

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最初に、資料館を見学させていただきました。資料館では絹の道や製糸・養蚕に関する資料・映像などを見て回りました。また実際に、絹や蚕の繭を見学し、触れてみることもできました。

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見学後、生糸を輸出するために、現在の八王子市と横浜市を結んだ道といわれる『絹の道』を実際に歩いてみました。昔の人は重い荷物を持ってこの険しい道を歩いたのかと思うと、大変な苦労だったかと思います。

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この道を歩くことで、『歴史』を肌で感じることができたのではないでしょうか。今回の八王子探究教室を活かして、八王子プロジェクトへと繋げていってもらいたいと思います。中1の挑戦は今後まだまだ続きます!