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工学院大学附属中学校・高等学校<公式ブログ>

【中3・グローバルスタディ】"食べること"から、世界を考える

中学3年生のグローバルスタディでは、
特定非営利活動法人 栄養不良対策行動ネットワーク(NAM)
から渡辺さんを講師にお招きし、
世界の栄養問題と食品ロス
について考える授業を行いました。

これまでSDGsや給食支援について学んできた生徒たちにとって、今回のテーマは「食」です。毎日の食事が、健康や成長、学ぶこと、そして世界のさまざまな課題とどのようにつながっているのかを見つめました。

渡辺さんは、NAMがウガンダの難民居住区で行っている活動を紹介しながら、栄養不良は単に食べ物が足りないことだけで起こるものではないと説明しました。食事の量や栄養のバランスに加え、安全な水を得られるか、衛生的な環境で暮らせるか、子どもの成長を支える知識や医療につながる手段があるかなど、さまざまな条件が複雑に関わっています。

授業では、現地で子どもの栄養状態に注意が必要かどうかを確かめる際に用いるという「命のテープ」も紹介されました。紙製の測定テープを上腕に巻き、腕の太さで子どもたちの栄養状態を確認するものです。

生徒たちは実際に、自分や隣の生徒の腕にテープを巻いて測定を体験しました。多くの生徒が緑色(栄養状態良好)の範囲となる一方、渡辺さんは、黄色や赤色が示す腕の細さを実演で示しました。赤色の範囲は、大人の指が2本入るかどうかほどの細さです。

写真や資料だけでは実感しにくい現実を、自分たちの身体感覚と比べながら受け止める時間となりました。現地では、このテープを用いて子どもたちの様子を確かめ、必要に応じて支援や治療につなげていくといいます。

NAMの活動は、子どもの状態を確認することだけにとどまりません。保護者への栄養教育、地域で手に入る食材を生かした調理の工夫、住民同士が支え合う仕組みづくりなどを通して、地域の人々が自ら子どもたちの健康を支えていけるよう取り組んでいます。

また、渡辺さんは、現地で活動する中でマラリアにかかった経験にも触れました。食の問題の背景には、衛生環境や感染症、必要な時に医療につながれるかといった、暮らしそのものに関わる課題が重なっています。食べることを支えるためには、食材だけでなく、人々が安心して暮らせる環境に目を向ける必要があることが伝わりました。

さらに、渡辺さんは、現地で活動を続ける難しさについても率直に語りました。厳しい気候や長時間の移動に加え、地域で暮らす人々と支援する側との間には、生活習慣や時間の捉え方、課題への向き合い方など、さまざまな違いがあります。

だからこそ、一方的に解決策を示すのではなく、地域に根付く文化や人々の考え方を理解し、多様な関係者と対話を重ねながら進めていくことが大切になります。食料や資金を届けることと、地域の人々が自ら課題を解決していけるよう支えること。その間で生まれる葛藤も、国際協力の現場にある現実の一つです。

授業の終盤には、日本の食品ロスについても考えました。
まだ食べられる食品が捨てられている一方で、世界には十分な栄養を得られない子どもたちがいること。二つの現実を重ねながら、生徒たちは「いま、自分たちにできること」を話し合いました。

「食べきれる量を買う」「食べ残しを減らす」「買い物の際に賞味期限を意識する」。日々の食事や買い物の場面で実践できる行動が、生徒たちから次々と挙がりました。遠い国の課題に見える栄養不良も、自分たちの日常と無関係ではありません。食べ物を大切に扱うことは、限りある資源や、それを生産し、届ける人々の営みに目を向けることにもつながります。

夏には海外異文化体験研修を控える中学3年生。
今回の授業は、自分たちにとっての「当たり前」を問い直し、多様な地域で暮らす人々の背景や価値観に目を向ける機会となりました。世界で起きている課題を知り、自分の生活へ引き寄せて考えること。その問いを、これからの学びや一人ひとりの行動へとつなげていきます。(広報室)

www.networkforactionagainstmalnutrition.com