10月27日(日)に本校アトリウムで21世紀型教育機構の「第1回21世紀型STEAM教育フォーラム」が開催されました。フォーラムには同機構で21世紀型教育研究センターのリーダーを務める本校教務主任の田中歩先生や、本校でSTEAM教育リーダーを務める後藤隆宏先生が登壇。また本校中1・2年の生徒も9人がサポーター役と務め、本校のSTEAM教育実践を紹介しました。
【フォーラムのプログラム】
- 第Ⅰ部 M型STEAM教育体験ワークショップ<世界を変える創造的才能が生まれる>
- 第Ⅱ部 C型STEAM教育体験ワークショップ<教科授業で創造的才能が生まれるきっかけ>
- 第Ⅲ部 ディスカッション <教科授業と教育活動を有機的に結びつける>
【趣旨】(同機構ホームページより)
「2040年問題」を解決する<新しい学習経験>の1つはSTEAM教育です。「2040年問題」とは、もし今のままの教育が行われ続けば、たとえば、今の中学1年生が34歳になる2040年の社会は壮絶なものになっているということです。
18歳人口は88万人に減少すると予想されています。生産年齢人口は半減すると予想されています。もしも教育が変わらなければ、学校環境や政治経済社会の環境がひどい状況になっていることは火を見るよりも明らかです。あの16歳のグレタ・トゥンベリさんは、よくもそんなことができますね。私たちは決して許しませんと語るでしょう。
そこで、21世紀型教育機構は、この「2040年問題」をそのようなデストピアシナリオからユートピアシナリオに書き換えようという挑戦をしています。
「C1英語を目指す・PBLをすべての授業で・ICT1人1台活用・STEAMと哲学によってリベラルアーツを現代化・思考コードなどのメタルーブリックの開発実践・海外大学進学準備教育の実施・思考力入試の実施・英語入試の実施」に取り組んでいます。これによって、すべての中高生1人ひとりが自分の才能を発見し開発し、私たちといっしょに世界を変えるグローバルシチズンとして成長して欲しいと願っています。それが「2040年問題」をユートピアシナリオに書き換えることです。
今回は、そのような<新しい学習経験>のうちSTEAM教育の取り組みについてみなさんとワークショップをします。21世紀型教育機構では、2つのSTEAM教育という考え方を実施しています。それはいったいどういう考え方なのか、いっしょに体験してみませんか。
第1部を牽引したのが田中先生と後藤先生。田中先生が本校のSTEAM教育のポイントを紹介し、後藤先生がワークショップの進行を務めました。
ワークショップのテーマは「より良い学食を作る」。グループごとにどんな学食にしたらいいかを話し合います。ここで活躍したのが本校の生徒たち、グループの大人の皆さんが題したアイデアを「Minecraft」や「Tinkercad」を駆使して、みるみる形にしていきます。その手際の良さにどのグループでも大人の皆さんはびっくりした様子でした。
ある程度形になってきたところで、大人の皆さんは他のチームの作品を見て回ります。生徒たちは来てくださった方々に、自分たちが作りつつある学食のコンセプトを一生懸命説明しました。
そして第2ラウンド。他のグループを偵察してきた大人の皆さんが、自分たちの学食をよりよくするためにさらに提案を続けます。そして生徒たちがそれを形にしていく。もちろん生徒たちは聞いた意見を実現させるだけではなく、自分たちのアイデアもきちんと取り入れながらバージョンのアップを繰り返していきました。
そして作業の時間は終了し、後藤先生の解題です。
「M型STEAM」のMは「Make」である。子供が遊びながら学ぶプロセスは「IMAGINE」➡「CREATE」➡「PLAY」➡「SHARE」➡「REFLECT」➡「IMAGINE」という流れを繰り返す。【計画>制作】が重要な時もあるが、【計画<制作】が大事な時もある。まず「Tinkering(=いじくりまわす)」・「Rapid Prototyping(=試作品を作る)」ことで見えてくることもある。今回は短い話し合いの時間で作業に入っていただきRapid Prototypingを体感していただいた。こうしてThink:「考えた」をMake:実際に「作って」みて、そしてImprove「改良」するというM型STEAMのプロセスにおいてICTツールは欠かすことができない。本校では中学生はタブレット、高校生はPCを活用しているので、こうした学習プロセスも容易に経験することができる。
続いて第2部はC型STEAM教育体験ワークショップ。ファシリテーターを務めたのは株式会社FlipSilverlining代表取締役の福原将之先生と、本校でもお世話になっているカンザキメソッドの神崎史彦先生。
3つの人口比率のグラフを見てそれがどこの国のものかを考えるという課題が与えられました。
まずは自分で考え、アプリに自分の考えを送信。集計結果を見て、次はグループで意見交換。それを参考に再度自分の考えを送信。第1回目の回答との差も確認しながら、また別のグループで意見を交換し、もう一度自分の考えを送信。こうやってアプリを使いPBLとPILを融合した授業を体感しました。
第3部は「多様なSTEAM教育と考え方」と題したパネルディスカッション。本校の田中先生・後藤先生のほかに聖学院中学高等学校で21教育企画部長・国際部長・広報部長を務める児浦良裕先生にもパネリストに加わっていただき、両校が実践するSTEAM教育の具体例を中心に活発な議論が展開しました。
今回のフォーラムでは全編を通して9名の中学生が活躍してくれました。4名は7月にシンガポールで行われたASLCに参加し「金賞」を受賞した生徒たち。他の5名は日頃からMinecraftに取り組んだり、図書館Fabスペースで行われているプログラミング教室に参加している生徒たちでした。彼らの実行力を通じ、ご参加の皆様に本校のSTEAM教育の様子をご紹介できたと思います。
本校には「ちーむべり~ぐっと」で防災の映像を配信している生徒や、Minecraftのeスポーツイベントを開催する生徒、Fab3Dコンテストに毎年応募する生徒、生徒会で映像やホームページを作成する生徒など、さまざまな分野でSTEAMを実践する生徒が多数います。今後も生徒たちの活躍も随時紹介していきたいと思います。
今回フォーラムに参加してくださった皆様、どうもありがとうございました。