こんにちは、広報室です。
中学生のKさんが電気自動車のモーターを支えるアダプターの製作に取り組んでいるので、今日は、製作現場となる工学院大学八王子キャンパスにある「ものづくり支援センター(FLAT)」からのレポートです。
Kさんが3D CADソフト「Fusion」を用いて独自に設計を進め、「マシニングセンタ」を使った加工を行います。


マシニングセンタとは?
マシニングセンタとは、コンピュータ制御(CNC)によって金属や樹脂などの材料を削ったり、穴を開けたりする加工機械です。CADで設計したデータを基に、精密な加工を自動で行うことができます。複雑な形状の部品を高精度で仕上げることができるため、大学や企業の研究開発現場でも活用されているものです。


大学生との技術交流
Kさんが手にしたPCには、自身でプログラムした設計が既に入っています。
ですが、まずはマシニングセンタに繋ぐ前に、設計・プログラミングの段階の検証です。
大学の技術担当の先生や、大学ソーラーカーチームの学生が加わり、設計段階でのフィードバックを受けることに。その結果、加工前にプログラムの修正が必要となり、実は今回はマシニングセンタの使用には至りませんでしたが、大学生との技術的な交流が大きな学びとなりました。


設計を確認した大学生からKさんへ、プログラムの精度や実際の加工工程について貴重なアドバイスを頂きました。
「Kくんのプログラムは決して無謀なものではないのです、むしろよく出来てる。ただ、送り速度や一回の切込み量といった部分は、経験や指導を受けなければ判断が難しいのです。加工する機械に特有の特性があり、それを考慮した設計が求められます。でも、中学生でここまでやるのは本当にすごいことです。僕は大学に入ってから設計を始めたので、Kくんが中学生で既ににこうした経験を積んでいるのは驚きです。Fusionも大学生と同じものですよ。」(大学生)
また、部材の固定方法についても、具体的なアドバイスがありました。
「機械に部材をねじ止めするには、新たに土台に穴を開ける必要があります。しかし、それにはさらに新たにプログラムが必要なので、まずはできるだけ既存の穴を利用する方向で検討しています。」(大学生)


さらに、附属中高の自動車部出身の大学生もおり、当時との環境の変化を語ってくれました。
「僕が附属中高にいたのは、ちょうど大学からソーラーカーを譲り受けた頃です。でもまだ大学との連携は深くなく、金属は手作業で削っていました。のこぎりややすりを使って加工していた時代と比べると、今の生徒たちは大学の設備を活用できる環境にあって羨ましく思います。」(大学生)
技術教育の進化と附属校のメリット
Kさんが使用した3D CADソフト「Fusion」は、中学の技術の授業でも導入しており、自動車部顧問(担当教科・技術)の島田先生は次のように話します。
「Fusionにはいくつかのバージョンがありますが、中学1年生の技術の授業では入門編を使っていて、生徒たちが夢中になって取り組んでいます。特に、木工にはあまり興味を示さない生徒が、PCを使ったものづくりには積極的に取り組む姿が印象的です。世代の違いもありますが、彼らはデジタルを活用したものづくりに強い関心を持っています。」(島田先生)
Kさん、今回はマシニングセンタでの製作には至りませんでしたが、大学生と対等に意見交換をしながら設計のブラッシュアップを行う姿勢は、中学生とは思えないほどの意欲と技術力を感じさせました。
Kさんが手にした中学生用のノートPCが力量不足なのでは!と不安になるほどに。



大学附属だからこそ可能な経験
大学のソーラーチームや「ものづくり支援センター(FLAT)」の技術指導を行う先生方からもアドバイスを受けながら、大学レベルの技術環境の中で学びを深めていく附属中高の生徒たち。
外注するような部品も、自分たちの手作りで。そんな自動車部の部品製作へのこだわりを実現できる理由のひとつに、「先進的な機械を備えた工房を持つ大学が隣接している環境」であることがあげられます。先生方や大学生との交流など、貴重な経験を経て夢を実現していくKさんや自動車部のこれからの成長がますます楽しみです。(広報室)
※自動車部では、社会人や大学生と並ぶ全国レベルのレースに出場することを目的に、エコカー(動力ガソリン)、電気自動車(動力乾電池)、ソーラーカーの製作に取り組んでいます。お問い合わせは自動車部まで。