JUNIOR & SENIOR HIGH SCHOOL OF KOGAKUIN UNIVERSITY <OFFICIAL BLOG>

工学院大学附属中学校・高等学校<公式ブログ>

RSIC2023 帰国後

ラウンドスクエア国際会議に参加し、ケニア、ナイロビから帰国した生徒の感想です。

今回私がラウンドスクエアの参加で得たものは計り知れません。初日、ナイロビ空港から学校に向かう途中、バスの中から見た家は土ぼこりの中に今にも崩れそうなボロボロのトタンの家でとても人が住んでいるとは思えないような建物ばかりでした。しかし、私たちが向かった学校のBrookhouse Schoolは、とてもお金持ちの家庭の子が通う立派な学校でした。初日では、ケニアの貧富の差を目の当たりにしました。うれしかったことは、7月に工学院で行なったInternational Sports Collaborationで私はボランティアに参加していたのですが、その時にインドから来てバスケの試合に出ていたShivyaに会いました!まさか彼女とケニアで会えるとは思わなくて、ものすごく感動しました。


2日目からは、世界の同年代の友達とバラザというグループでたくさん話す機会が与えられ、国籍や育ち、文化の違いを受け入れ理解し合う喜びを感じました。また中学3年生の時にExchange student でバミューダから日本に来ていたSophieが、今回のラウンドスクエアに参加していました!声をかけてくれて、私のことを覚えていてくれたことをすごく嬉しく思い感動しました。先生やインターのみんなにとてもあいたがっていました。ShivyaやSophieと再会できたことで、世界は広いけど、ラウンドスクエアに参加するとみんな近くで繋がれるんだと安心感と彼女達への親近感が湧きました。

その後の開会式で1番印象に残ったのは、Brookhouse School の生徒たちが演じながら説明してくれた、The hummingbird storyです。山火事があり、火を消すために数え切れないほど行ったり来たりして水を運んでいるhummingbirdを周りで見ている動物たちは馬鹿にしましたが、諦めずに山火事を消そうとする内容です。この話を作ったのはWangari Maathai という方で、この方は「持続可能な開発、民主主義と平和への貢献」により、環境分野の活動家及びアフリカ人女性として、史上初のノーベル平和賞を受賞した女性です。また、ナイロビ大学初の女性教授となった方です。私はWangari Maathai の本を小学生の頃に読み、(MOTTAINAI)運動を世界の共通語として広めたり、植林活動を行った女性としてとても尊敬していました。何故かというと、Wangari MaathaiSDGsが始まる10年以上前からこのような活動を初めていた方なのです。彼女を通して私もSDGsの活動に関心を持ち、その方の出身国と言う意味でも、とてもケニアに興味があったので、hummingbirdの話を聞いて感動し鳥肌が立ちました。

3日目は近くの公立の小学校の修理をしに行きました。Brookhouse Schoolとは違い、校舎は小さく、雨漏りがしそうな薄っぺらい錆びたトタン屋根でした。もちろん暖房や冷房などはなく、決して良い環境で勉強できる学校ではありません。私は床にセメントを塗りました。学校の裏にある水道で小さなバケツに水を入れ何回も何回も往復しなければいけませんでした。今回出会った子供の中には、学校に通えても文房具が買えない子もいました。その子は、自分は学校に通えている、とても恵まれていると言いながら目を輝かせ、将来の夢は学校の先生になりたいと話してくれました。そしてほとんどの子が親孝行をしたいので頑張って勉強していると話してくれました。とても元気で明るい子供たちから学ぶことが多く、少しでも私も役に立てるように一生懸命働きました。

その後、culture eveningでは、各国の伝統ある文化を披露しあいました。私は袴を身につけて、剣道の形を披露しました。まゆは浴衣を着て、剣道の説明をしてくれました。不安とは裏腹でたくさんの拍手をしてもらえてとても嬉しく安心しました。持参した木刀や、袴を着た姿にとても興味をもってくれて、Samurai girlとたくさんの人に声をかけてもらったことは良い思い出となりました。

4日目、ナイロビ国立公園では、ナイロビ市街をバックにキリンやライオンが立っている不思議な光景を目にしました。なにもない草原に野生の動物がいて、その奥には近代的なケニア共和国の首都ナイロビの高いビルがありました。今までの私なりの固定概念のような考え方、見方が崩れて脳がパニックになりました。東アフリカ市場の入り口で外国企業も多く進出しているのに、その反面、村落では、教育や医療サービスも行き届いていない地域が隣り合わせで、いろんな思いが頭の中をかけ巡りました。

5日目、バラザでアフリカの将来について話し合いました。私は世界の子供たちが平等に教育を受けられるようなワールドビジョンが必要だと伝えました。ケニアには読み書きができる11歳から13歳の子供の割合が33%だそうです。1つに児童労働の問題があります。ケニアには130万人の子供が児童労働をしています。ほとんどの貧困家庭では、子供は労働者です。そしてその親も貧しい家庭で育っているので、家計が苦しくて、子供に教育を受けさせることの重要性やその価値を十分に理解していないという問題点もあります。このような貧困や毎日のようにニュースで見るような紛争で1番苦しんでいるのは何の罪もない子供たちだと私は思い、世界中の大人に理解してほしいと心から願いました。何もならない無駄な紛争で使うお金をサッカーボールや設備の整った学校、文房具と医療チームを整えたなら、どれだけ豊かな国が生まれるでしょう。そう思うと、心が壊れそうになりました。

その夜、私がお世話になったホストファミリーはとてもお金持ちの家でびっくりしました。先ほどまで考えていた事と真反対の裕福な生活をしているご家庭にお世話になっていろんな思いが駆け巡りました。でもこれも社会の現実なんだと複雑な思いをしました。ホストファミリーには愛情をいっぱい注いでもらい、おいしい食事をご馳走になっていると、この状況は決して当たり前なことではないんだ。私たちが普通に暮らしていけるのも とても恵まれていることなんだと以前より感謝の気持ちが湧いてきました。ホストファミリーからは、豊かな生活の中に、他人に愛情を注ぐことで得られる喜びを学びました。そこで一緒にホームステイをした友人たちも同じことを感じながらその思いを共有できる機会となりとてもありがたいと思いました。ホストファミリーと接して「他人の役にたつ事は自分の幸せになるということ」を学んだように思います。

6日目、閉会式では、ラウンドスクエアに貢献されたKing Constantine ||の話を聞き感銘を受けました。世界の子供たちの将来を考え、ラウンドスクエアを通して、リーダー育成等の功績を残された偉大な人だと改めて思いました。今回のラウンドスクエアに参加させていただけたことで少しでも私自身がこのような素晴らしい方々と関わりを持てたような気がして胸がいっぱいになりました。そして最後の夜をケニアで誰もが知っている大人気のSauti Solというグループバンドが歌を披露してくださいました。その中でSura Yakoという曲は、スワヒリ語の歌ですが、とても心に残る曲だったので後で調べてみたら、愛する人へ真っ直ぐに愛を伝える意味の曲だそうで、国民性が表れている気がしてとても好きになりました。やはり歌は世界を1つにするなと感じました。最後の夜にふさわしいゲストばかりで締めくくられました。

7日目、ケニアを発つ日の朝みんなで朝ごはんを食べました。オーストラリアから来たCharlie、Alice、Millyはとても仲良くなりずっと一緒にいました。特にCharlieは毎回ご飯を一緒に食べたり、閉会式ではずっと一緒にいて踊ったり歌を歌ったりと、とても大切な存在になりました。私のルームメイトはインドから来たAnousha と、ルーマニアのMaiaでした。3人で写真を撮ったりいっぱい動画を撮ったり自分たちの国のことなどをたくさん話し合ったり楽しい思い出しかありません。そして今回のラウンドスクエアの思い出もたくさん語りあいました。さよならは辛いけどここで出会えた友人とはこれからも繋がっていける友人として、最後ではなくてこれが始まりなんだということに気づきました。

私の兄は4年前にインドのラウンドスクエアに参加させていただき、その時に出会った世界中の友達と今でも仲良くしています。ラウンドスクエア後にわざわざ日本に遊びに来てくれた友人もいました。だから兄にとってラウンドスクエアはあの時の1週間だけのものではなく、大切な人々との出会いのきっかけとなり、一生の宝となる出来事だったのです。私自身もバラザで話し合った友人やルームメイト、現地の中学校で夢を語ってくれた子供たち、私たちのためになる話をしてくださったゲストスピーカーの著名な方々、お世話になったホームステイ先のファミリー…たくさんの出会いの連続でした。世界の友達と共動し合えた喜び、友人と再会できた感動、心動かされたスピーチ、誰かのために…と他者中心の信念。等々、文章に書き表すことができないほどの多くの経験と学びを得ることができました。

ケニアに着いてから1日も無駄な事はなく、目まぐるしく毎日充実した時間を過ごすことができました。世界各国の友人と違う観点から意見を言い合ったり、その国ごとの文化や習慣で培った考え方を発表し合い、私自身が成長できるチャンスをいただきました。そこには、国ごとの歴史や政治的な背景もあり、まだまだ勉強不足な自分もありました。そして多くの気付きがありました。人間の思考は、育った環境や繋がる人々によって大きく変わるんだなとも感じました。1人の人間が成長していく過程で、教育の大切さを改めて考えさせられました。アフリカだけでなく、日本でも貧困によっての教育の格差は日頃ニュースで問題になっています。教育は世界中どこにいても平等にあるべきだと私は強く感じました。そして国籍だけではなく、性別、年齢、障害の有無や宗教などに関係なく、地球の全ての人が暮らしやすい社会は、他文化が共生して、お互いの違いを認め、受け入れるのが当たり前の世界になることだと思います。

最後に、この文章では書ききれない位貴重な体験をさせて頂き、中野校長先生を始め、担任の石坂先生や他先生方、このようなチャンスくださり本当にどうもありがとうございました。また一緒に頑張ってくれたまゆにも2人で共動できたこと、本当によかったです!どうもありがとう!そして中川先生にはいろいろとアシストしていただき、お世話になり大変感謝しております。なによりも工学院にラウンドスクエアを導入していただき、どうもありがとうございました。また、両親にも感謝の気持ちでいっぱいです。

この経験は私の心に一生残り、自分自身の大きな成長につながった大切な時間でした。「百聞は一見にしかず」と諺がありますが、たくさんの本を読んだり新聞やニュースを見るよりも、現地に訪れて自分の目で見て感じたこと、体得したことは自分という人間を作る糧になるということです。そしてこの経験をたくさんの人に伝えるべきだとも思います。参加させていただいたことに感謝し、この恩を次に他の人に役立てていけるように心掛け、今後の人生にも生かせるようにすることが使命だと思います。