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工学院大学附属中学校・高等学校<公式ブログ>

【受賞】サイエンスフォトコンテスト/天文部・高校2年生の視点

 

本校の高校2年生の2名が、 第8回サイエンスフォトコンテスト(主催:化学技術団体連合・共催:文部科学省)において受賞しました。

染野理さん(写真左)はサイエンス部の部長を務め、物理班と天文班の両方で活動しながら、作品「僕らを見下ろす天の川」で最優秀賞(中高生部門)に選ばれました。
古林拓人さん(写真右)はサイエンス部の天文班長として活動、作品「身近で遠いお隣の銀河」で優秀賞(中高生部門)を受賞しています。

■「僕らを見下ろす天の川」染野 理

「宇宙を撮るというより、人をどう一緒に写すかを考えていました」

天の川がずっと好きだった、という染野さん。
「天の川そのものを撮りたかったというより、その下にいる人間を、どう同じ画面の中で一体として見せるか、その構図についてずっと思いを巡らせていました」

写真には、夜空いっぱいに広がる天の川と、地上で活動する人の姿が同時に収められています。
地上に残る赤いライトの軌跡は、観測に取り組む仲間たちの動きです。
「撮影をしながら、自分たちの立つ地球は宇宙の中の一つの惑星に過ぎないのだな、と思いました」
その視点が、撮影を重ねる中で少しずつ形になっていった、といいます。

カメラに触れたのは高校1年生から。
なかなか思うように撮れなかった時期を振り返りながら、今では、使い慣れたカメラを分解・修理することにも挑戦するまでに至った仲間とのこの1年を語ってくれました。

■「身近で遠いお隣の銀河」古林拓人

「図鑑で見ていた天体写真に、どこまで近づけるかを考えていました」

古林さんが撮影したのは、アンドロメダ銀河です。
肉眼では、夜空にうっすらとした雲のようにしか見えませんが、見かけの大きさだけを見ると、満月が横に六つほど並ぶほどの広がりがあるといいます。

「図鑑やNASAの資料で見てきた天体写真のイメージがずっと頭にあって、 自分の撮った写真を、どこまでそこに近づけられるかを考えていました。」
肉眼で見ることが難しい銀河を、どうすれば人の目に届けられるか。
撮影条件や画像処理を何度も試しながら、見えないものを「見える形」に近づけていきました。

撮影にかけた時間は6時間以上。
撮影枚数は1200枚近くに及んだといいます。

「正直、提出した時点では、自分の中では途中段階のつもりでした。 でも、コンテストに出して他の人に見てもらって初めて、ここで一段落なのかもしれない、と思えたんです」

- 同じ夜空、ふたつの視点 -

本コンテストのテーマは「発見!身近な科学の不思議や驚き」。
決して、被写体が天体である必要はありません。
今回、本校からの二つの受賞作品が天体をモチーフとしていたのは、ふたりが合宿先である福島の深く包み込むような同じ夜空を見つめ、それぞれの関心や違和感を深めていった結果でした。

ところで、皆さまはお気づきでしょうか。
同じ夜空の下、二人の作品へと向かうまなざしが、異なる方向へと分かれていることを。

染野さんは「宇宙の中で人間はどこにいるのか」という問いと構図に悩み、 古林さんは「宇宙の距離やスケールは、私たちの感覚をどのように裏切るのか」という違和感を掘り下げているのです。
天体を美しく捉えたことに対する評価に加え、 それぞれが夜空と向き合い、その中にある不思議や違和感を見つけ、 自分なりに考え続けてきた時間や過程が、今回の評価につながったと言えます。

- 写真に重なる、静かに考え続けた時間 -

視点が異なっても、二人に共通していたのは、 自分の作品を完成形だと言い切らなかったこと。
一枚の写真に、明確な完成の線を引くことは簡単ではありません。
どこで製作の手を止めるのか、その判断もまた、撮影者自身に委ねられています。
シャッターを切った一瞬だけでなく、 そこに至るまでに重ねた試行錯誤や迷いの時間が、 結果として一枚の写真に集約されています。

(サイエンス部・福島夏季合宿)

誰にでも開かれた深く美しい夜空。
けれど、そこから何に目を留め、何を考え続けるのかは人それぞれです。
二人の作品は、その違いこそが 「身近な科学の不思議や驚き」であることを、静かに伝えています。
彼らのその繊細な感覚を育んできた場が、本校のサイエンス部の活動であったことを誇りに思います。

染野さん、古林さん、このたびは受賞おめでとうございます。
今後も、それぞれの関心を大切にしながら歩んでいかれることを期待しています。(広報室)

※掲載写真は、本人の同意を得たうえで、無断転載・二次利用防止のためウォーターマークを施して掲載しています。
※写真および作品の著作権は撮影者本人に帰属します。

参考1:科学技術団体連合ウェブサイト

uost.jp


参考2:サイエンス部 夏季合宿in福島 2025.8月

kogakuin-jsh.hatenablog.jp